地獄の釜が開く
かなり前に人から聞いた話ですが、ちょうどお盆の頃に体験した怖い話です。
三十年以上前の体験談です。
その人が友達何人かで北海道を車で旅行したときに起きた怖い実話です。
場所は忘れてしまったそうですが北海道の田舎だったそうです。
その日は目的地まで、一台の車で夜の真っ暗な長い道を走っていました。
ようやく一つの明りが見えてきました。夜も遅い時間で長い時間走って来たこともあり、みんな疲れ果てていました。
そこで明りのついているこの場所で、仮眠をとることにしました。
その人は外の新鮮な空気を吸いたいので明りの付いている門の様な所で、仮眠を取ったそうです。
どのくらい眠ったのでしょうか、寝ていると自分の周りで足音がするのに気が付きました。
足音は靴ではありません。何だかわらがすれる様な音、そうです『わらじの足音』です、それに人の『ひそひそ声』も聞こえます。
その騒がしさに薄目を開け、周りを見渡しました。
するとその人の周りには、『わらじを履いて着物を着た人達』が大勢で取り囲んで、ひそひそと話をしているのが見えました。
その人達の様子は見るからに恐ろしい顔をした人達だったそうです。
その様子を見た瞬間その人は必死に抜けそうになった腰で立ち上がり、車に飛び乗り込み友達に早く車を出すよう怒鳴りその場を去ったそうです。
旅行から帰ったその人は見てきた恐ろしさに一週間寝込んでしまったそうです。
その後、その人達が仮眠を取った場所はお寺の山門だったことがわかり、その日はお盆の送りの日だったこともわかりました。
昔から『お盆に地獄の釜が開き一斉に釜から飛び出した様々な霊がお釜が閉まる送りの日に帰って来る』そんな言い伝えがありました。
そんな日に人間がお寺の入口で邪魔していた為、「何だ、こいつは邪魔な奴がいる、こいつも連れてっちまおう」などと話していたのではないかと結論になったそうです。
みなさんも『お盆の地獄の釜が開いている時』には気を付けましょう。
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